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栄養素の種類

私たちは、身体が活動していくのに必要な栄養素を食べ物で摂取しています。

このページではそんな栄養素の種類についてお話します。

五大栄養素

エネルギー源となる三大栄養素【糖質、脂質、タンパク質】に代謝に必要な【ビタミン、ミネラル】を合わせて五大栄養素といいます。

糖質

糖質とは炭水化物と呼ばれることもありますが、糖質と食物繊維を合わせて指すことが多いです。糖質はエネルギー源になりますが、食物繊維は消化酵素では消化されないため、エネルギー源にはならないので、糖質と区別します。

糖質の働き

エネルギー源になる

体内で1g当たり4kcalのエネルギー源となり、脂質やタンパク質よりもエネルギー源として使われやすいです。脳、筋肉などの組織が活動するために欠かせない栄養素です。

血糖として利用される

健康な人の血糖値は空腹時で70~110mg/dl、食後は一時的に120~130mg/dlまで上昇しますが、約2時間後には空腹時の数値に戻ります。脳は基本的に血糖をエネルギー源としていますから糖質を極端に制限してしまいますと脳のパフォーマンスは低下します。

他の栄養素との関係

・タンパク質との関係:糖質や脂質からのエネルギー供給が不足して、飢餓状態になるとエネルギー源としてタンパク質が多く使用されます。

・脂質との関係:糖質を過剰摂取した場合には過剰分が脂質(中性脂肪)に変換されます。脂質から糖質への変換はできません。この要因が極端な糖質制限ダイエットを生んでいると考えられます。

・ビタミンや酵素との関係:糖質からのエネルギー利用には補酵素としてビタミンB1、B2、ナイアシン、パントテン酸などのビタミンが必要になります。

脂質

脂質とは水に溶けない化合物です。様々な種類があります(脂肪酸、中性脂肪、リン脂質、ステロイドなど)。

脂質の働き

エネルギー源になる

脂質は1g当たり9kcalのエネルギー源となり、糖質やタンパク質の2倍以上のエネルギー源となります。

貯蔵脂肪として蓄積される

過剰なエネルギー摂取は中性脂肪として皮下、腹部、筋肉間の組織などに蓄積します。同じエネルギーを貯蔵する場合、脂質は糖質やタンパク質の半分ほどの重さですむため、機能的といえます。

生体膜の構成成分となる

コレステロールなどは、生体膜の構成成分として広く分布しています。皮脂として皮膚の保護にも重要です。

生体膜機能の維持をする

多価不飽和脂肪酸(リノール酸、α-リノレン酸、EPAなど)は細胞膜機能の維持に重要です。欠乏すると皮膚炎、脱毛などが生じます。

コレステロール

コレステロールは生体膜の構成成分であり、肝臓における胆汁酸(脂質の分解・吸収に重要)、副腎皮質ホルモン(免疫機能にとても重要)、性ホルモンのようなステロイドホルモンの材料となります。体内でも合成されますが、食事からの摂取も身体には重要です。ただし過剰な摂取は動脈硬化などの要因になるので注意しましょう。

タンパク質

タンパク質とは多数のアミノ酸が結合したものです。アミノ酸は20種類存在していて、体内で合成できず必ず食物から摂取しないといけないアミノ酸を【必須アミノ酸(9種)】、体内で合成できるアミノ酸を【非必須アミノ酸(11種)】と言います。

タンパク質の働き

身体を構成し、機能を維持する

筋肉や臓器などを構成する最も重要な栄養素です。コラーゲン(皮膚や腱に存在)やケラチン(髪や爪に含まれる)もタンパク質で構成されています。また、成長ホルモンや血糖値の調整に関係するインスリン、体内で酸素を運搬するヘモグロビンなどもアミノ酸から作られています。例えば肉を食べて、そのタンパク質がそのまま筋肉として利用されることはなく、一度アミノ酸まで分解されて筋肉に使用するタンパク質を最初から作っていきますのでタンパク質を食べただけ筋肉が増加するわけではありません。

エネルギー代謝に関わる

タンパク質は、糖質と同じ1g当たり4kcalでエネルギー源として利用されるます。身体の構成成分として重要ですが、糖質や脂質を十分に摂取していない飢餓状態では生命維持のために身体のタンパク質が分解されエネルギー源として使用されます。また糖質や脂質に比べて食事による熱の産生が大きく、体温の維持に役立ちます。

ビタミン

ビタミンとは生命活動維持のためには不可欠な化合物です。体内ではほとんど合成されないか、合成されても必要量に満たないため必ず外から摂取しなければなりません。

ビタミンの種類:ビタミンは【脂溶性ビタミン】と【水溶性ビタミン】に分けられます。

下の表に種類、主な作用、多く含む食品、欠乏症をまとめました。

種類 主な作用 多く含む食品 欠乏症
脂溶 性ビタミン ビタミンA(レチノール) 明暗順応 ウナギ、レバー、卵黄、バターなど、カロテンでの吸収は緑黄色野菜 夜盲症、角膜軟化症、角膜乾燥症
ビタミンD 骨形成 魚、キノコ類など くる病(小児)、テタニー
ビタミンE 抗酸化作用 大豆油、カボチャ、アーモンドなど 溶血性貧血、神経障害
ビタミンK 止血、血液凝固 カリフラワー、ホウレン草、ニラ、トマト、イチゴ、納豆、海藻など 出血傾向、血液凝固低下
水溶性ビタミン ビタミンB1(チアミン) 糖代謝の補酵素 豚肉、胚芽、落花生、ゴマ、ノリなど 脚気、ウェルニッケ脳症
ビタミンB2 糖代謝と脂質代謝の補酵素 胚芽、レバー、乳、卵、肉、魚、アーモンド、ノリ、乾シイタケなど 成長停止、口角炎、口唇炎、舌炎、角膜炎
ビタミンB6 アミノ酸代謝と脂質代謝の補酵素 ヒラメ、イワシなどの魚、レバー、胚芽、ゴマ、肉、クルミ、ニンニクなど 口角炎、皮膚炎
ビタミンB12 アミノ酸代謝と脂質代謝の補酵素 ニシン、サバなどの魚、貝、レバー、肉、海藻など 巨赤芽球性貧血
ナイアシン 酸化還元反応の補酵素 カツオ節、魚、乾シイタケ、レバー、肉など ペラグラ
パントテン酸 糖代謝と脂質代謝の補酵素 レバー、ソラ豆、納豆、落花生、サケ、卵など 通常の食生活では起こらない
葉酸(プテロイルグルタミン酸) アミノ酸代謝と核酸代謝の補酵素 レバー、新鮮な緑黄色野菜、豆類など 巨赤芽球性貧血
ビオチン 糖代謝と脂質代謝の補酵素 レバー、卵黄、カキ、ニシン、ヒラメ、エンドウなど 通常の食生活では起こらない
ビタミンC(アスコルビン酸) 抗酸化作用、鉄の吸収促進、抗凝固因子 新鮮な野菜や果物など 壊血病

ミネラル

ミネラルとは骨などの組織や酵素の構成成分、体液中の電解質などとして重要な役割があります。

ミネラルの種類:体内の存在量に応じて【多量ミネラル】と【微量ミネラル】に分けられます。

多量ミネラル カルシウム(Ca)、リン(P)、カリウム(K)、硫黄(S)、ナトリウム(Na)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg)
微量ミネラル 鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ヨウ素(I)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、バナジウム(V)、ヒ素(As)、コバルト(Co)、フッ素(F)

下の表にミネラルを多く含む食品、欠乏症と過剰症をまとめました。

ミネラル名 多く含む食品 欠乏症 過剰症
カルシウム 牛乳やヨーグルトなどの乳製品、しらす干しなどの小魚、ダイズ製品、種実類、藻類など くる病(幼児)、骨軟化症、骨粗鬆症、テタニー 泌尿器系結石、ミルク-アルカリ症候群、他のミネラルの吸収抑制
リン 魚介類、アーモンド、落花生、チーズなど 通常不足することはない 副甲状腺機能亢進、カルシウムの吸収阻害、腎不全、腎結石、骨密度の低下
マグネシウム ノリ、ヒジキなどの藻類など 骨粗鬆症、低カルシウム血症、神経疾患、運動失調、精神疾患 尿中に排泄されるため、起こらない
カリウム 野菜類、イモ類、藻類、種実類など 低カリウム血症 高カリウム血症
ナトリウム 漬物、塩蔵類など 食欲不振、吐き気、血液濃縮、筋肉痛 浮腫、高血圧症
塩素 塩分の多い食品など ※塩素の欠乏症は食塩の摂取量に影響
レバーなどの内臓、肉類、貝類、藻類、納豆、コマツナなど 鉄欠乏性貧血 鉄沈着症
ゴマ、牛レバー、ホタルイカ、イイダコなど 貧血 通常は起こらない
亜鉛 カキ、豚レバーなど 成長障害、免疫機能低下、味覚障害、性腺の発育・機能障害、皮膚炎、慢性下痢、低アルブミン血症 通常は起こらない
セレン カツオ、イワシ、ホタテ、鶏卵、ゴマなど 成長阻害、筋肉委縮、肝障害、不妊症、免疫機能低下 疲労感、毛髪・爪の変化、吐き気・嘔吐、腹痛、心筋梗塞
クロム ヒジキ、ワカメ、マイワシ(丸干し)、アナゴなど 耐糖能異常、成長障害、タンパク質の代謝異常 通常は起こらない
ヨウ素 コンブ、ワカメ、ヒジキなど 甲状腺腫、甲状腺機能低下症 甲状腺腫、甲状腺機能亢進症の悪化
コバルト ヒジキ、ハマグリなど 巨赤芽球性貧血 吐き気・嘔吐、食欲不振、発疹
マンガン アオノリ、干しエビ、アーモンドなど 成長阻害、骨形成異常、血液凝固能の異常、生殖能力の欠如、運動失調、脂質と糖質の代謝異常 疲労感、倦怠感、不眠、精神障害、歩行障害
硫黄 卵類、肉類、魚類など 通常不足することはない 通常は起こらない
モリブデン キナコ、大豆、落花生など 通常不足することはない 銅の吸収障害
フッ素 イワシ、エビ、藻類など 通常不足することはない 慢性フッ素中毒

食物繊維

食物繊維は炭水化物の1つで、ヒトの消化酵素では消化されないためエネルギー源にはならないものです。生理作用は多様で、便秘の解消や便秘からの大腸憩室の予防、大腸がんの予防、毒性成分の吸収阻止、耐糖能の改善、食事性血糖上昇の抑制、血清コレステロールの是正など健康維持に役立ちます。

~食物繊維の働き~

食物繊維は【不溶性】と【水溶性】に分けられます。どちらも大腸内で発酵・分解されて、腸内環境を整える働きのあります。

不溶性食物繊維】:植物性食品や野菜、甲殻類の外皮、キノコ類、ゴボウ、ニンニクなどに含まれます。働きは、水分を吸収してふくらみ、腸を刺激して便通を促す働きがあります。

水溶性食物繊維】:果実や野菜、大麦・オーツ麦、コンニャク、コンブ、紅藻類などに含まれます。働きは、粘性があるため、胃・腸内の滞留時間を延長させたり、糖質や脂質などを吸着し、吸収を緩やかにしたりします。

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