体内に糖質を蓄える場合には、グリコーゲンとして貯蔵することになります。グリコーゲンは、主に筋肉と肝臓の中に貯蔵でき筋肉が大きい方が貯蔵量も多くなります。通常よりも多く貯蔵するための方法として活用されているのが、「グリコーゲンローディング法」です。
導入当初の方法は、現在では「古典的な方法」といわれていて、運動や食事の条件が厳しく、試合前にコンディションを崩すことが多かったのです。そこで現在は、改良した方法がとられています。グリコーゲンローディング法を実施することにより、筋肉中のグリコーゲン量は標準を超えておよそ2~3倍に増加し、肝臓グリコーゲン量はほとんど倍に増加すると報告されています。方法は次の通りです。
●運動量を試合の1週間前から3日前まで少なくし、試合2日前からはさらに運動量を少なくする、あるいは、休息します。
●食事は、試合の4日前までは、糖質を適度に含む混合食、試合3日前からは、「高糖質食」にします。このときの糖質は、食事してとるので、デンプン(多糖質)が中心となります。
●注意として、試合前2~3日は、高糖質食にするだけでは効果が低く、運動量を減らすか、休むことをしなければ期待する効果は得られません。
グリコーゲンローディング法を実施するうえでの注意点があります。グリコーゲンを筋肉中や肝臓中に蓄える際、蓄積されたグリコーゲン1gには約3gの水が結合されます。例えば、普段より300~400g多くグリコーゲンを蓄積すると、900~1200gの水も増えるので、体重はおよそ1200~1600g増加します。この増加量が、パフォーマンスにどのように影響するかを考えてからグリコーゲンローディング法を実施するかどうか決めなくてはなりません。このため、練習試合などで、グリコーゲンローディング法を試してみることが必須です。また、グリコーゲンローディング法の完璧な手順が必要かどうかなど、個人の経験から判断し、自分なりの方法にアレンジして実施してもいいと思います。
グリコーゲンローディング法は、主としてマラソンや長距離ランナー、スイマー、自転車競技選手、トライアスロン選手、クロスカントリースキーヤーなどのような長時間、高いレベルで連続したエネルギー消費を維持するアスリートのために実施されてきました。さらに、サッカー、ラクロス、テニスやハンドボールのような長時間強度の異なる運動を組み合わせて行う競技のアスリートにも効果があるとされています。研究では、さまざまな報告がありますが、試合前の備えとして、ある程度グリコーゲンの貯蔵量が多い方が有利であり、不安材料の解消となります。体重の調整など、総合的に考えてグリコーゲンローディング法をどの程度、実施するか決めるとよいでしょう。試合の3日前から始める「プチ・グリコーゲンローディング法」もおすすめです。