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糖質の摂取について

糖質は人体にとって最も重要なエネルギー源です。

生命維持や身体活動時のエネルギー源となる糖質。糖質制限などのブームになっている中、糖質摂取の意義について、理解を深めてもらいたいです。

基本的な考え方

体内での糖質の利用は、ロウソクで表現することができます。ロウソクの芯の部分が糖質、ロウの部分が体内脂肪。安静にしているときには芯は細くて短くてもいいですが、身体活動が多くなって多くのエネルギーが使われる場面では、芯の部分が太くて長い方がロウ(体内脂肪)をより多く利用でき、エネルギーをまかなうことができます。したがって、エネルギーの消費が多くなると、芯を太く長くしなくてはならず、糖質がたくさん必要となります。

芯の太さと長さがどのくらい必要かは、身体活動の質・量・強度・時間によって変わります。

最近は、世間の人たちの意識の中に糖質の摂取量を抑える風潮が見受けられます。しかし、糖質の摂取を減らすにも限度の量があります。

なぜならば、芯がなければロウが燃焼できないのと同じように、糖質がなければ、体内脂肪もエネルギーにすることができないからです。たとえ糖質があっても少なければ、芯は細く短くなるため、脂肪の利用も減ります。

また、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣などの組織については、通常ブドウ糖(芯)しかエネルギー源として利用できません。つまり糖質の供給が少なくなると、身体は通常のシステムで活動することができなくなります。

さらに、極端に糖質の摂取が少ない、あるいは「ない」場合には、芯を得るために体内に蓄えられているタンパク質(体タンパク質)を利用して「糖新生(タンパク質などを分解して、その一部を使ってブドウ糖を作ること)」を行います。このため、体タンパク質の量が減少します。

このように糖質の摂取量は、身体作りとパフォーマンスに直結します。糖質の必要量を満たすように摂取することが重要となります。

ちなみに、糖質制限の臨床研究をまとめた結果から、糖質制限による体重減少の効果は少しだけか、あるいは無いと結論付けているのです。

糖質を含む食品の種類

糖質だけを含有している食品には、砂糖があります。しかし現実的には、1日の糖質摂取量をすべて砂糖だけで補うことはありません。そこで、さまざまな食品から糖質を摂取します。まず、穀類を食べることによって多糖類を摂取することができます。穀類以外ではイモ類などからも摂取できます。そのほか、穀類のように多くは摂取できないが、さまざまな食品中に糖質は含まれています。

糖質を含む食品を選ぶときにできるだけ多くの種類や栄養価を考えたうえで(精白米に玄米を混ぜるなど)選択することによって、糖質以外の栄養素の摂取が充実します。

また、エネルギー必要量の多い人は、低エネルギーで嵩(かさ)が多い食物繊維を多く含む食品を大量に食べることは避けたいです。これで満腹になってしまうと、糖質やエネルギーの不足に陥ることになるからです。エネルギーの必要量が多く、食事ではとりきれないときには、甘いドリンクやエネルギーバーなど食べることで、エネルギー不足を防ぐことができます。

糖質摂取のタイミング

食事をすると食べたものは、消化・吸収されます。消化は、とても時間がかかる作業のため、通常の量を食べた3時間後の胃の中は、まだまだ消化しなくてはいけない食塊がある状態です。その状態で、運動中に糖質補給のために砂糖などを摂取しても、胃にある食べ物が邪魔して、思ったように吸収されません。ただし、運動鍛錬者の場合には、運動中もある程度の消化と吸収が可能であることから、食後、胃の中の食塊がある限り、効率が悪い状態とはいえ、ダラダラと糖質をはじめさまざまな栄養素が吸収され、供給されることになります。

たとえ運動時間が長く、エネルギーの必要量が多くても、運動中の糖質の摂取は制限されます。その理由は、運動中に補給できる質と量には限界があること、糖質の摂取量が多すぎた場合には水分の吸収などに支障が生じること、運動中、血糖値が上がることによりエネルギー代謝過程に影響を与え、パフォーマンスが低下する可能性があることがあげられます。

最近の研究では、持久系の競技のように運動時間が2時間半以上の場合に、複数の種類の糖質を摂取することによって糖質の酸化効率(エネルギー産生性)を高め、疲労の軽減やパフォーマンスの向上につながるという報告があります。またイソマルツロース(商品名:パラチノース)のような特徴のある糖質も開発されており、現場で活躍する価値があると考えられます。

摂取タイミングを考えるときには、次の6項目を確認したいです。

①練習や試合の開始時刻が朝・昼・夕食の3回の食事開始時刻に影響するか

②3回の食事でエネルギー必要量を摂取することができるか

③3回の食事でエネルギー必要量を摂取できない場合は、補食を利用する時間とそのタイミングで胃に余裕があるか

④練習や試合時間はどのくらいか

⑤練習や試合中、どのくらい飲むこと(食べること)ができるか

⑥食後、どのくらい時間をおいてから運動するのか

以上の項目を整理してから、3食の糖質、脂質、タンパク質のエネルギー配分、補食ありの場合や運動中の補給の質・量・嗜好などを考慮して補給計画を立て実施します。

具体的には、3食でバランスの取れた食事をし、エネルギー必要量の3/4を摂取し、残りの1/4を補食と練習時の糖質補給(スポーツドリンクからの糖質を含む)で補います。タイミングとしては、運動開始時刻の2時間半前までには食べ終えて、血糖値を空腹の状態まで落としてから練習を始めるようにします。

糖質の摂取は「いかなる身体活動にも必須なものであること」「パフォーマンスに直結すること」「摂取タイミングや糖質の質や量の調整が必要であること」を覚えてもらいたいです。

リカバリーのための糖質補給

筋グリコーゲンは、運動直後の糖質の摂取により、リカバリー効果が高まるとされます。このタイミングでのタンパク質の同時摂取は、グリコーゲンの回復に影響がないとの報告もあります。運動後の回復期間中早期の4時間までに、糖質の摂取を約1~1.2g/kg/時にすることでリカバリー効果を最大限にすることができ、その後の糖質摂取が適切であれば、24時間で回復するとしています。

しかし、回復中(24時間以内)にトレーニングや練習をした場合には、十分な回復ができません。例えば、毎日同じ時刻に練習する場合には、練習の量や質にもよりますが、完全な回復ができない状態でトレーニングするかもしれません。休日の次の日は練習の質が高いですが、練習日が続くことによってパフォーマンスが落ちてくるような課題があった場合には、筋グリコーゲンのリカバリーの状態を確認したいです。合わせて休日の重要性についても考えたいです。

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