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サプリメントの活用

栄養素以外のサプリメントは安易に使用しないこと

バランスのよい食事を食べることだけでは、1日に必要なエネルギーや栄養素を摂取することが難しいことがあります。そこで必要となるのがサプリメントの活用です。

サプリメントの利用を判断する条件と具体例を下の表に載せました。

判断の条件 具体的な例
身体の活動量が多くなり、食事からとりきれない場合 身体の活動量が多くなるに伴い、エネルギー・栄養素の量が多くなり食事量が増加するのに、必要量を食べきれないとき
消化・吸収の時間が短い場合 食事時間や食後の休憩時間が十分にとれないなど、エネルギーや栄養素の必要量を摂取できないとき
食事に偏りがある場合 好き嫌い、食物アレルギー、合宿・遠征などで食環境が悪いとき
食事の制限により摂取量が少なくなる場合 減量中や病気のとき
食欲がない場合 緊張していたり、疲労していたり、予定している食事をすべて食べることができないとき
胃腸が弱っていて、消化・吸収の能力が低下している場合 胃腸の状態が悪いとき
特定の栄養素を摂取しなくてはいけない場合 増量・トレーニングの状況によって、増やさなければならない栄養素があるとき

サプリメントを活用する目的として、不足している栄養素を補う場合と運動などのパフォーマンスの向上のために「エルゴジェニックエイド(摂取することでスポーツのパフォーマンスの向上が期待できるサプリメントのこと)」と呼ばれる栄養素以外の成分をサプリメントとして摂取する場合があります。栄養のためのサプリメントを選ぶ場合には、食事からの摂取量が必要量を充足しているかを考えて、不足している栄養素があれば、サプリメントを利用して補充するとよいです。

一方エルゴジェニックエイドを利用する場合には、その成分の作用が科学的な根拠に基づいているか、そのエビデンスを導いている研究の実験条件が妥当であるか、どのような評価指標によって効果があると認めているのかを確認することが重要です。

成長期にあたる小・中・高校生は、サプリメントの利用を控えたいです。サプリメントを利用しないと動くことができないような運動量が、発育発達に支障(オーバーユース症候群、貧血、やせ、疲労骨折など)をきたすからです。すなわち、サプリメントに頼らず、食事と補食からエネルギーや栄養素を必要量摂取することのできる運動量にとどめるべきです。

しかし現状、東京都のスポーツ少年団に所属する小・中学生140名を対象とした調査結果では、男子31.2%、女子36.5%がサプリメントを摂取していると回答がありました。また、高校生トップレベル陸上競技選手738名を対象に行った調査では、サプリメントを摂取しているアスリートが62.2%でありました。

タンパク質のサプリメント利用は過剰摂取に注意

タンパク質のサプリメントには、アミノ酸、ペプチド、プロテインがあります。これらの違いは、アミノ酸単独での摂取か、アミノ酸とアミノ酸が結合した状態で摂取するか、あるいは、結合しているアミノ酸の数が多いか少ないか、つまり消化しやすいかどうかの違いです。結果的には、どれを選択してもアミノ酸を摂取していることになります。利用する場合には、目的により、アミノ酸、ペプチド、プロテインのどの形状で摂取するか選択しなければいけません。最も吸収が早いのはアミノ酸で、次にペプチド、プロテインの順となります。早く吸収させたいときは、アミノ酸を選ぶべきです。また、サプリメントのアミノ酸は、サプリメントのコンセプトによっていくつかの種類に絞って配合していることもあります。プロテインとペプチドは、必須アミノ酸が中心ですが、20種類のアミノ酸すべてが配合されていることが多いです。

タンパク質のサプリメントを利用する際の原則は、食事から得られるタンパク質量を把握し、必要量が満たされない場合のみサプリメントで不足分を補充するようにして、過剰摂取を防ぐことです。例えば、食事で良質のタンパク質(アミノ酸スコア100の食品)が少ない場合に、プロテインを利用する。あるいは、胃腸の調子が悪いなどで肉を食べることができないときに、ペプチドやアミノ酸のサプリメントを利用することは有効です。サプリメントを安全に有効に利用するためには、食事や食品から摂取することができるタンパク質の知識を持つことが重要ですこちらを参考に

プロテイン剤を牛乳などに溶かして摂取する場合には、牛乳に含まれるたんぱく質だけでなく、脂質の摂取量についても注目すべきです。例えば、300mlの牛乳でプロテイン剤を摂取したときの牛乳から得られるエネルギー量は約200kcal、タンパク質は約10g摂取できます。これにプロテイン剤のエネルギーとタンパク質が加わります。牛乳からのタンパク質摂取だけでも十分と考えるだけでなく、エネルギーの過剰摂取という心配もあります。

サプリメントは薬ではないので、摂取量として示されている量は目安量として受け止め、タンパク質とエネルギーの過剰摂取にならないために摂取量をコントロールすべきです。例えば、推奨の摂取方法には、「牛乳300mlにプロテイン剤3スプーン」と書いてあっても、食事をとっているので、そんなに必要ないのであれば「牛乳100mlにプロテイン剤1スプーン」でもよいのです。

運動中は、分岐鎖アミノ酸であるロイシンの酸化が高まることから分岐鎖アミノ酸のサプリメントを利用することの有効性に関して、研究が行われています。しかし、その結果はさまざまです。そこで、分岐鎖アミノ酸の利用について考えてみましょう。食物中の必須アミノ酸の中で分岐鎖アミノ酸が占める割合は、50%と高いです。このため、食事からのタンパク質の摂取量が十分であれば、アミノ酸のサプリメントとして分岐鎖アミノ酸を摂取する必要性は低いです。

さらに、アミノ酸の吸収は早いですが、胃の中に消化中の食べ物があった場合には、胃から十二指腸へ送られるまでに時間がかかります。運動後に、活発に胃腸が動き出し、消化・吸収が効果的に行われれば、運動前に食べたものからアミノ酸は供給されることになります。このことから、アミノ酸のサプリメントの効果は、摂取前の食事の影響を受けることを覚えておきたいです。

タンパク質のサプリメントは、考えているよりも有効性は低いものかもしれません。もしタンパク質のサプリメントの有効性を体感できる場合には、食事からのタンパク質の摂取量が少ないのかもしれません。あるいは、消化管の状態がよくないのかもしれないと考えることもできます。

ビタミン・ミネラルのサプリメントで注意したい点とは?

ビタミンやミネラルを含むサプリメントにも、さまざまなものが市販されています。これらは、食事だけでは摂取できない分を補充する役割のほかに、食事を制限して体重のコントロールが必要なときに、体調を維持する役割があります。

ビタミンのサプリメント

ビタミンには、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンがあります。水溶性ビタミンについては、サプリメントとして大量に摂取すると、過剰分が尿中に排泄されます。ビタミンB群が入っている栄養ドリンクを飲んで30分後くらいに排尿したら、黄色い、ビタミンの匂いのする尿が出たという経験もあるとおもいます。このため、過剰症が明確ではない場合もあります(「日本人の食事摂取基準2020年版」では、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸には耐容上限量が設定されています)。しかし、尿中に排泄されるといっても、過剰分がそのまま排泄されるわけではありません。吸収され、血液中をめぐり、腎臓にたどり着いたときに必要以上あった場合に、ろ過して排泄する過程を通ります。ただ排泄されるわけではないことを知ると、過剰に摂取することは避けるべきということがおわかりいただけるでしょう。水溶性ビタミンのビタミンB群の役割を知り、必要以上の摂取にならないように、サプリメントを活用しましょう。運動量が少ないときには、食事からの摂取だけで必要量を満たせるように食の充実を図りたいものです。

水溶性ビタミンのビタミンCに関しては、食事では補いきれないとき以外の活用として、ストレスが高まったときに必要量が増加することから、サプリメントで補う場合のもあります。ストレス下では、摂取量を増加させることが必要です。ただしビタミンCの過剰摂取による影響には、下痢や腹痛があるので、慎重に摂取量を決めて利用するべきです。

脂溶性ビタミンのビタミンA、D、E、Kについては、過剰摂取になっても尿中に排泄されることはありません。「日本人の食事摂取基準2020年版」では、過剰摂取による健康障害があることから、ビタミンA、D、Eに耐容上限量を示しています。ビタミンAは胎児奇形や骨折、Dは高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害、Eは血が止まりにくいなどが確認されています。サプリメントとして摂取する際には、本当に必要かを確認したうえで、摂取量を決めて利用するべきです。マルチビタミンの中には、脂溶性ビタミンが含まれており、食事の状況を考えずに習慣的に摂取することは避けたいです。

ビタミンのサプリメントの摂取量については、薬ではないので、摂取目安量に記載されている摂取量以下の摂取でもよいです。(ただし記載されている以上に用いることはしてはいけないです)。例えば、1回3錠とあっても、食事からある程度摂取できているのであれば、1回1錠としてもいいのです。また、摂取タイミングは、1回3錠とあるなら、1日朝、昼、夕、それぞれの食後に1錠としてもよいのです。サプリメントを選ぶ際には、このようなバリエーションをつけられるように、できるだけ摂取量のサイズが小さいものがいいです。摂取目安量が1日1錠では、食事を考慮して摂取することはできないので。

ミネラルのサプリメント

ミネラルは、体内で多すぎても、少なすぎても問題です。そもそも身体は、サプリメントのようにある1種類の栄養素だけを大量に吸収することを想定しないで作られています。なぜなら、食べたものの中に含まれる量が少ない場合には、吸収率を上げたり、受動輸送(エネルギーを使わない)だけでなく能動輸送(エネルギーを使う)も使って吸収したりと、少ないときの対策が身体に備わっているからです。しかし、大量に摂取したときの対処法は、万全ではなく、例えば過剰分のカルシウムで骨を太くしたり、腎臓のろ過を経て調整しながら排泄したりすることはできません。

ミネラルは、食事から摂取することにより、身体の状況にあった吸収を促すことが最善となることから、明確な理由(食事がとれないなど)がない限り、サプリメントの利用を避けるべきです。

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