タンパク質が含まれているのは肉・魚・卵だけではありません
身体の活動量に伴うエネルギー消費量の増加によって、タンパク質の必要量も増加します。タンパク質の摂取は、運動など活発に動かず一般的な生活を送っている人で体重1㎏あたり0.8~1g/日、持久的なトレーニングをしている人で1.2~1.4g/日、断続的な高強度トレーニングを行っている人や筋肥大(筋トレ)をさせている人では、1.4~1.7g/日が目安といわれています。タンパク質の摂取量をエネルギー摂取量の割合から考えることもありますが、エネルギー摂取量が多いからといって、それだけタンパク質の摂取量を多くするという考え方は間違っています。
良質なタンパク質源である肉は、脂身のない部分の約20%がタンパク質であると考えるとよいと思います。肉のすべてがタンパク質であると考える人もいますが、それほど多く含まれているわけではありません。また、タンパク質は、肉、魚、卵、などを多く食べなければ必要量を摂取できないと考えられがちですが、穀物の中にも含まれています。穀物からの摂取量も含めて、タンパク質の摂取量を考えることが重要です。
過剰摂取については、体重1㎏あたり2g/日を超えないことを目安にしています。タンパク質が穀物の中にも含まれていることを考えると、良質なタンパク質源だけで、必要量分のタンパク質を摂取した場合には、過剰摂取になる可能性が高くなります。身体の活動量の増加に伴い、主食の量を多くすれば、その分タンパク質の摂取量も増加していきます。タンパク質源の選び方も、肉類だけに偏ることなく、魚類や豆・豆製品、牛乳・乳製品などからも摂取できるようにすることで、カルシウムなどのミネラルの欠乏を招かないことにも繋がります。だからといって、肉類を食べないで魚類にすれば、鉄などの栄養素がとりにくくなります。「1つの食品(食品群)に偏らず、いろいろ、ほどほどに食べる」ことが必要なのです。
脂質の摂取と合わせて、タンパク質の摂取量についてもエネルギー過剰にならないようにしつつ、脂質とタンパク質以外の栄養素の摂取を充実させるように、質と量を考えて食べたいですね。
タンパク質源となる食品例 | |||
パスタ(ゆで) 120g | 9.8g | 牛乳 1杯200㎖ | 6.6g |
食パン 6枚切り1枚 | 5.6g | まぐろ赤身 5切れ | 15.8g |
ごはん 100g | 2.5g | 卵 1個 | 8.6g |
そば 1玉 | 10g | 牛もも肉 脂身なし 100g | 20.2g |
豆腐(木綿) 1/2丁 | 9.9g | 納豆 1パック | 12.4g |
身体の活動量が多くなる分、糖質の摂取量も増えます。
糖質の摂取量は身体作りと直結するため、病気等で制限がかかっていない限りは、必要量を満たすように摂取することが重要です。
糖質を多く含む食材は、穀類から作られたもの(めし〈米を炊いたもの〉、パン、うどん、そば、パスタ)です。毎食食べるようにしましょう。
では、どのくらい食べたらいいのでしょうか。1日中安静にしているときのエネルギー摂取量は、体重×24時間×1.05kcalで推定できます。例えば体重60㎏の人ですと約1500kcal、そのうち60%(一般的に目安とされている比率)の900kcalを糖質から摂取するためには、225g(900kcal÷4kcal)の糖質が必要となります(糖質は体内で1gあたり4kcalのエネルギー源となります)。めし100gで糖質を37.1g摂取できるので、225gの糖質をめしからとるには約600g必要で、めし1膳(150g)だと、1日で4膳になります。
この体重60㎏の人が、毎日、通勤やオフィス内で90分程度歩いていて、睡眠時間が6時間程度、デスクワークを中心に働いているとします。安静にしている以外で700kcal程度のエネルギーがさらに必要にになるので、約105gの糖質(700÷60%÷4)を摂取するために、めしだと2膳程度を追加する必要があります。
ここでは、めしだけで糖質をとることを考えましたが、ほかの穀物をとったり、いろいろな食材に入っていたり、ジュースを飲んだり、菓子を食べたり、ジャムを塗ったり、砂糖が使われた料理をたべたりと、食事や間食・補食から糖質をとることになります。そこで体重60㎏くらいで運動をたくさんしていない人であれば、だいたい毎食めしを1膳強(150~200g)しっかり食べて、その他、バランスの良い食事をすることで適正量摂取できると考えられます。
糖質は生きるために必要ですが、多すぎても少なすぎてもだめなのです。どのくらいを目安にすればいいかを考えられるようにししていただきたいと思います。