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タンパク質の過剰摂取

タンパク質の過剰摂取については、国際オリンピック委員会(IOC)が、「タンパク質の摂取量について、2~3g/kg/日を超えて摂取しても筋合成などによい影響を与えるという明確なエビデンスはない」といっています。そこで、過剰摂取の目安は体重1㎏あたり2g/日以上としています。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では過剰摂取による健康障害の明確な根拠はないので、数値では示していません。しかし適正量は示しているので、適正量以上とることには注意が必要です。

タンパク質を過剰に摂取するとどのようなことが起きるか並べてみましょう。

①:タンパク質は、アミノ酸が80以上複雑に結合してできています。このため多く食べると消化や吸収に時間がかかります。例えば、夕食で肉を食べた翌朝、起きた時に胃にまだ肉が残っていると感じたことがあるかもしれません。これはげっぷなどでも確認できます。

②:タンパク質は消化され、アミノ酸として吸収されたのち、門脈を通って肝臓に運ばれます。そして、アミノ酸プール(身体の中に貯蔵されているアミノ酸)が少なくなっているようであれば、血液中の濃度を維持するための補充に使われ、同時に酵素やホルモンなどを作るためにも使われます。しかし必要以上に吸収された場合には、分解します。アミノ酸プールを大きくしてアミノ酸貯蔵量を増やすわけではありません。

③:アミノ酸の分解は、肝臓内で炭素(C)、水素(H)、酸素(O)でできている部分と(★)、窒素(N)を含んでいる部分(☆)の大きく2つに分けて行います。★は、食後の糖質の摂取が充実していれば脂肪酸を作ります。その脂肪酸3分子がグリセロールという糖質と結合して中性脂肪になります。つまり、タンパク質の取り過ぎは太るのです。

④:アミノ酸から切り離された☆はアンモニアになります。アンモニアは、毒性が強く、血中アンモニア濃度が高くなると、昏睡状態となり死亡することもあります。そこで肝臓では、アンモニアを無毒の尿素に分解する回路(◆)を持っています。ということは、タンパク質をとり過ぎると肝臓の仕事が増えるのです。

⑤:◆によって生成された尿素は血中に流されます。そして血中の尿素濃度が高くなり過ぎないように、腎臓で排泄することで調整しています。ということは、タンパク質をとり過ぎると腎臓の仕事が増えます

⑥:①~⑤に加えて、動物性タンパク質(肉、魚など)には、含硫アミノ酸(メチオニン、システインなど)が多く含まれています。動物性タンパク質を大量に摂取すると、アミノ酸の分解により、尿中のリン酸塩、硫酸塩が増加し、尿が酸性化します。このため、カルシウムの再吸収が抑制され、尿中カルシウムが増加し、尿路結石や骨粗鬆症などのリスクが高まります。

このようにタンパク質を過剰摂取すると、肝臓や腎臓に余計な仕事をさせなくてはいけなくなります。

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